謎家族〜みんなでプール〜
謙「ちょっと!慧ちゃんも辰哉も水着忘れてるってば!」
もー!なんて笑いながらシートベルトを外して車を降りる謙兄。私たちも車を降りる。
みゅ「いい天気だね!晴れてよかった~」
長い長い夏休みの終わり頃。久しぶりに7人みんなが仕事も学校もなくて遠出をしようって話になったとき、「プールに行きたい!」って言い出したのは慧ちゃん。高校3年生になるとプールって授業で無くなるから、なんて言ってたけどみんな乗り気で。それもそのはず7人みんな揃って海とかプールとか行くのなんて私が中学生の時以来だ。
照「じゃーシャワー終わったとこで待ってるから」
まだ開園してすぐだから人も少なくて、少し静かな更衣室で着替えながら更衣室特有の塩素の匂いに最初は乗り気じゃなかった私もだんだんワクワクしてきた。
みんな先に入ってるかもな~なんて思ってできるだけ急いで着替えて更衣室を出てシャワーをくぐる、と遅いよ~!なんてケラケラ笑いながら言われた。案の定既に浮き輪もシャチも全部膨らんだ状態で、今にも飛び込んでいきそうな辰兄と末っ子3人。
辰「流れるプールいくぞ!!」
「「「わーーーーい!!!」」」
なんて言いながらこれよろしく!って財布渡してきて走り出す4人。もー…誰が子供で誰が大人なんだか…
照「辰哉いちばん張り切ってんな(笑)」
『ね(笑)みんなでプールなんて久しぶりだもんね』
謙「照もあきらもはやく!ロッカー入れて早く俺達も行こ!」
流れるプールに行くと丁度一周回り終わったみゅーと達が見える。
浮き輪に入って浮く慧ちゃんと、もうひとつの浮き輪に乗っかるみゅーと。シャチに乗ろうとする翔希に翔希を落とすためにシャチをひっくり返そうとする辰兄…ちょーたのしそう!!!
『辰にいーーー!!待ってー!!!』
辰兄達に近づこうとドボン、と勢いよくプールに入る。わ、つめた!思ってたより冷たい水にびっくりして立とうとするけど…あれ、足つかない?やば!
照「ほら、いきなり入るからそうなるんだよ」
やばい、って思ってヒヤッとした瞬間にいつの間にかプールに入った照の手が隣からのびてきて、とっさにそれを掴んで安心する。あぶねー…
『…溺れるかとおもった(笑)』
照「溺れたかと思った(笑)」
みゅ「あきらー!浮き輪あげるー!」
いつの間にこっちに寄ってきたのかすぐそこにいるみゅーとが浮き輪を投げてきたのでありがたくそれに捕まる。
照「みゅーと、辰哉のいるとこまで潜水勝負な!」
みゅ「わ、まってよ」
みゅーとに勝負を持ち掛けてすぐ潜って泳ぎだしちゃったひーくんとそれを追って潜って泳ぐみゅーと。まってよー
謙「プールなんて久しぶりー!きもちー!」
いつの間にかプールに入っていた謙兄は私の捕まる浮き輪の反対側に捕まってきた。なるほど、私の足がつかないってことは謙兄の足もつくはずがない。謙兄も足つかないの?と笑いながら言えばあー!バカにしたー!と笑いながら水のなかで蹴っ飛ばしてきた。『やめてよ落ちるじゃん!』謙「背低いこと気にしてるのにバカにしてきたあきらが悪いんですー!」
そのまましばらくゆっくり流れていると次々に先に流れていったみんなが合流してくる。
謙「慧ちゃん楽しい?」
って、にこにこ笑いながら謙兄の入る浮き輪に捕まる慧ちゃんに謙兄か聞けば弾けるように笑って「うんっ!」って返ってくる。うん、私もめちゃめちゃ楽しい!
翔希「わーやめてやめて!俺足つかないんだってば!」
みゅ「やだー浮き輪!」
照「落とせ落とせ!」
翔希「ぎゃー!」
みゅーとと照は足がつくからって横で翔希をいじめてるし、謙兄と慧ちゃんも楽しそう。
辰「なあなあ!海のプールもうすぐ波がでるって!」
シャチの上に乗りながら器用にパンフレットを読んでる辰兄の言葉に「いくー!」と反応する皆
『うわっ、すごい人…』
波のプールで波が出る直前なんて人がたくさんいるに決まってるけど、それでもすごい人だ。
辰「一番沖行くぞ!!」
「「「いえーーい!!!」」」
…にもかかわらず叫びながら走り出す我が家の男ども。こんな人混みではぐれたら迷子のお知らせをされてしまう!(去年の冬みんなで行ったテーマパークではぐれた美勇人を迷子センターで呼び出して貰った。めっちゃ楽しかったけど。笑)それは嫌だ!!なんて思ってハッとしたら慧ちゃんに
慧「あきら?はぐれちゃうよ?」
って言われてサッと手を引かれて走らされる。
ちょ、慧ちゃん突然手引かれても足元水だし走りにく…
『わっ、』
バッシャーンという気持ちのいい音ではなくてバチャン、となんだかカッコ悪い音をたてて予想通りすっころんだ私。ちょっと、慧ちゃん!なんて言えばケラケラ笑いながらそんなに速く走ってないじゃん!運動神経悪すぎ!なんて言われた…もー、ちょっと膝擦りむいちゃったじゃん(笑)
慧「波出てきちゃった…」
『慧ちゃん足ついてる?』
慧「もうついてない」
沖の方にいるみんなを見つけてそっちに向かおうとする途中で波がでてきてしまった。足がつかない状態で浮き輪に掴まりながら沖に行こうとしても波に連れ戻されてしまって全く進まない。
慧「…全然進まない」
『ね(笑)でももうちょっとだし、がんば…ブッ!
もうちょっとだしがんばろー?なんて慧ちゃんに言ってよそ見したら顔面に波が直撃してしまった。…鼻に水入って痛いけど進まなくてちょこっと機嫌悪くなりかけてた慧ちゃんがケラケラ笑ってるからいいとしよう。グッジョブ波!
みゅ「おなかすいたー!」
みゅーとのその一言で波が出終わるのより一足早くお昼ご飯。おかげでちゃんとパラソルの下で日陰で嬉しい♡
みゅ「ひか兄も辰兄も本気で落としてくるんだもん、耳にめっちゃ水はいってるんだけど!」
あの後なんとかみんなのいる沖まで辿り着いた私たちはようやく足がつかなくなったみゅーとと照を浮き輪から落っことしたりシャチに乗った翔希が波に揺られてひっくり返ったりそれはそれは楽しく遊んだ。
翔希「俺鼻に水めっちゃ入ったからね!」
謙「それ翔希の鼻の穴がでかいからじゃん!」
「「『じゃんけんぽん!』」」
公正なじゃんけんの結果、辰兄→翔希→みゅーと→私→慧ちゃん→照→謙兄の順番で滑ることになったウォータースライダー。結構な大きさがあって、高さも長さもあって迫力満点のスライダーらしくて中々有名なのだ。
照「ちょー高ぇ!あれ?みゅーと?見てみめっちゃ高い!」
『下見てみ?下!』
みゅ「もー!やめてってば!」
高いところとジェットコースター系が苦手なみゅーとは小さい頃ウォータースライダーも苦手だったのだ。今では普通に楽しめるみたいだけど。
そんなこんなで照とみゅーとで遊んでたらいつの間にか辰兄も翔希も下に降りててみゅーとの番。赤いランプが光ったらスタートして大丈夫ですなんて説明してくれるお兄さんにはーい、と頷きながらも緊張した顔のみゅーと。後ろからケラケラ笑ってたら口元をキュッて結んだままこっちを睨みつけてきた。なにそれ可愛い。
謙「あ、みゅーと赤いよ」
後ろを向いてる間についたGOサインの赤いランプ。慌てて手を離して滑り出すみゅーとが可愛くてケラケラ笑ってたらお兄さんに次の方どーぞー、って言われて準備。わ、ウォータースライダーなんて何年か振りでちょっとドキドキする。赤いランプがついたらスタートしてくださいね、何て言いながらにこっと笑うお兄さんはちょっとだけ辰巳くんに似てる。…かっこいい♡
「はい、どーぞ」
お兄さんがかっこよくて見惚れてたらどーぞ、って背中を軽く押されて慌てて手を離す。後ろからいってらっしゃーいなんて謙兄と慧ちゃんの声が聞こえる。
『きゃーーー!!!!』
急なカーブで鼻に口に水が入りそうになりながら抜けて、ようやくゴール。あ、出口のプールが見えた、なんて思ったら出口目の前に辰兄の姿。
『辰兄どいてーーー!』
バチャン、とまたもやかっこ悪い音を立ててプールに落ちた私。もー、辰兄危ないじゃんプールから出ててよ!なんて文句言おうとしたら、スライダー超たのしくね?なんて楽しそうに笑ってもう一回行こうぜ!だって。もー、って言いながらも笑ってたらプールの淵から「あと10分で波でるってー!」と叫んでくるみゅーとと翔希。成る程。
「「「波だぁー!!!!!!」」」
結局ウォータースライダーに行きたいのは辰兄だけだったのでみんなで波のプール。
辰「ばっか!みゅーと浮き輪一人で持つなおれが溺れるだろぉ!!!」
みゅ「ぎゃーーばかばか辰兄こちょばさないで!!!」
翔希「えー俺またシャチ?落ちるじゃんひーくん交換してよ!」
照「大丈夫だって」
謙「えーじゃあ俺と慧ちゃんシャチの上乗る〜!」
慧「じゃーあきら大きい浮き輪あげる〜!」
『もう夕方だから波のプールで終わりかなぁ』
謙「そうだね〜」
っしゃー!最後だ!波に勝つ!!!!なんて意気込みながらいざ波と勝負!!!!
謙「いっやー、波強かったね〜」
結局波には完敗状態で名残惜しみながらプールを後にした私達。着替えてアイスを食べて車に乗り込んで行きとは違って静かに少し走った時に運転手の謙兄が喋り出した。
照「まあ俺は最後の波の間一回も落ちてないけどな」
翔希「照兄俺のこと蹴っ飛ばして落としてくるんだもん!敵だらけで勝てるわけないよ!」
車の中はイケイケの夏ソングばっかりがかかっていた行きとは違ってちょっと落ち着いたオシャレな洋楽が流れてて、たくさん泳いで疲れた身体には眠るのに心地いい。
照も翔希もボーッとしてたけど起きてたみたい。
『ウォータースライダーがいいってたくさん駄々こねてたのに結局辰兄が1番騒いでたよね』
辰「そんなことねーよ!みゅーともかなり騒いでたじゃん!…あ、
助手席に座る辰兄をからかうと振り返りながら反論してきた辰兄。後ろみてみ?なんて指で示してくるから後ろを見ると頭をフラフラさせながら眠るみゅーとと、そんなみゅーとの膝に頭を乗せて上半身だけ寝っ転がって眠る慧ちゃんの姿。
『二人とも寝るの早いなぁ(笑)』
翔希がみゅーとにクッションを投げるとそれを枕にしてまた寝だしたみゅーと。末っ子達可愛いなぁ、なんてほほえましく思ってたらちびっこ二人寝ちゃったのー?とケラケラ笑いながら音楽の音量を下げる謙兄。
謙「あきら達も寝ていいよ、あ!辰はだめだよ俺も眠くなるから(笑)」
うとうとしながら右側にいる照の肩に頭を乗せると頭と肩の間にタオルを挟んでくれる照。寝る?って小さく優しい声が上から聞こえたからうん、と目を瞑ったまま言うとおやすみ、と頭にポンッと手が置かれた気がした。
久しぶりにみんなで行ったプール楽しかったね、来年もまた行こうね!なんて翔希と辰兄の話し声が聞こえたような気がしたな。来年も行けたら行きたいなぁ、みんなのお休み合うといいな、
夏休み最後の家族でお出かけ、とってもはしゃいでとっても楽しかったです!
「蛍光ピンクに思いを込めて」
このツイートから始まりました
「眼差しも襟を触る癖も知ってる人魚のきみの声を知らない」と「透明なショーウィンドーの奥で君笑ってるんだね逃げてもいいよ」がすごく好き。“短歌結社「明星」第二回歌会 お題:「ジャニーズJr.」 - こみねもすなるだいありー” http://t.co/zqaMmts8lH
— あきら (@myu_2cattack) 2014年8月27日
そして参加していらっしゃる制作者さんのブログを読み、ひとつの歌にいろいろな思いを抱きいろいろな考えが生まれました。
「何者でもない僕らの輪郭を縁どる蛍光ピンクの熱さ」
何者でもない僕ら、ただの一人の普通の少年が舞台の上にいる時間は自分のファンにとっては世界で一番輝いているアイドルになる。
この歌が、それが不思議なことだということに気づいてしまった一人のJr.が舞台の上で呟いた一言だと考えるととても胸が苦しくなります。
ファンは想いを団扇にのせている気がしています。というか、私はそうです。担当を前にすると叫ぶことも反応することもできなくなってしまうので、団扇にあなたが大好きだよ誰より一番だよ、という想いをのせているつもりです。(あいたたたたたぁ)
蛍光ピンクは団扇だと制作者様は言いました。団扇は、つまりはファンの想いだと私は捉えました。
その団扇を、このJr.は「熱い」と感じたのです。熱いと感じるということは彼自身はその団扇よりも温まってないのです。彼自身の熱量よりもファンの熱量の方が勝ってしまっている。そんな部分がとってもとっても切なく感じました。彼自身よりも ファンの方が必死になってしまっている、そんなシーンなのかなと思いました。
私の今の担当さんはJr.なのですが、応援する際に度々考えることは「彼は何に向かって進んでいるんだろう」ということです。Jr.にはいろんな目的でその活動をしている子がいると思っています。日本一のアイドルになろうとデビューを目指しその先を目指す人、自分のスキルを高める為にその活動を経験にしようとする人、限られた時間のなかでどこまでできるのか試したい人。
私が彼に目指してほしいと思っている姿と、彼がなりたいと強く願う姿は同じだろうかということを度々確認したくなります。
ファンが自分の意思をもって一人のジャニーズJr.を応援する、という行為は時にその方向が違ってしまえばそのJr.にとって足枷にしかなり得ない、とそう思っています。
もしかしたらこの歌のJr.は「俺なんかただの何でもない一人の普通の少年なのに、なんでこんなとこにいるのだろう」と思っているのではないかなと考えました。「何者でもない、そんなただの少年の俺をこの人はこんなに必死に応援して、滑稽だ」と思って呟いた言葉なのでは、と思っています。
確かに滑稽ではあるけれど、私のようなあいたたたぁなオタクは滑稽だと笑われたファンと自分を重ね合わせてしまい、切なくどこか苦しい気持ちになる歌でした。
ここからは歌とはあまり関係ないのかもしれませんが、
ジャニーズJr.とそのファンは熱し熱される関係だと思っています。
ジャニーズJr.である彼らを縁取るものがファンの想いだとするならば、
もし中身よりも縁の方が熱くなってしまえば、それは彼らを火傷させてしまったり逃げ出せなくさせてしまう足枷になってしまうかもしれない。
もし中身の方が縁よりも熱くなってしまえばその熱は行き場をなくして発散してしまうし覚めてしまうかもしれない。
でも、中身と縁が同じ熱さになったとき、その二つは溶け合って、彼はようやく一回り大きくなっていくのかな、なんて思いました。
だからこそタッキーは「スノーマンも頑張るから、ファンのみんなも頑張って」と言うのかもしれないな、なんて思いました。
ジャニーズJr.とそのファンの関係性ってそれだけ深いんじゃないのかな、なんて夢を抱いている私がいます。(笑)
実際は多分、私たちが思っているより数十倍、彼らの思いは熱いし強いし美しい。そんなことも最近感じています。(笑)
でも、この歌を読んでここまで考えたとき、私はPLAYZONEで踊る美勇人くんから溢れるエネルギーを火傷しそうなぐらい熱く感じたことを思い出しました。
ああ、もっともっと上へ、もっともっと輝きたいって彼の体は叫んでいた気がしています。
もっともっと、彼の熱量に負けないように私も熱をいれていかなきゃね!なんて思ってしまいました。
はい、あいたたたたたたぁ。(笑)
とっても心に残る短歌でした!たのしかった!
追記
ここまて考えて、きっと私の考えも偏ってるし拗らせてるし、しつこすぎるので制作者さんの意図とは違ってきてるのだろうなーそれ以上のものもしくはそれとは外れたものを考えてしまっているのだろうなーとぼんやり考えています。
短歌って奥が深いなぁと想いながら、
もしかしたらジャニーズというものは短歌に近いのかもしれないなと思いました。
31音という限られた字数の中に潜む情報を推測して込められた思いを読みとる、そんな短歌はとても魅力的ですし
ステージ上や画面誌面の中という限られた場面しか見えない彼らの思いや考えを想像してきっとこうであろうという彼の像を創造する、そんなジャニーズ…というよりもアイドル、という文化はもしかしたら短歌とどこか似ていて、日本的なのかもしれないですね。
アイドルは日本の文化ですし。
そしてここまで考えて反省したのが私はきっと考えすぎるが故に自分勝手な彼らの像を創造して、そして勝手に拗らせているのだろうなぁと思ったことですwww
見ているものそれが全て、だというのは私には到底むずかしいようです(苦笑)
安定のあいたたたたたぁです(笑)
謎家族~謙兄誕生日会~
謙「ただいま~…って、あれ、真っ暗…」
謙「…おかしいなぁ、ちょっとー?」
謙「ねぇ、ちょっと、誰もいないのー?」
ガチャ、
パンっパンっパンっパンっパンっパンっっっ
「「『謙にい、おたんじょうびおめでとーーー!』」」
クラッカーを鳴らしてパチッと電気をつけると、目を真ん丸にして驚いている謙兄。大成功ー!!!へへっ掴みはばっちり!
辰「はいはい、主役はこっちー!」
みゅ「謙にいこれつけてー!」
驚いたまま何かを言おうと、っえー!えー!なんて騒いでにやにやしてる謙兄をお誕生日席に座らせる辰兄。☆今日の主役☆って大きく書かれた襷をかけてあげる翔希に、ハッピーバースデーのティアラを頭にのせてあげるみゅーと。えー!やだー!いつから計画してたのー!やだー!なんてキャーキャー騒ぎながらみゅーと達にされるがままの謙兄はまるで女子大生だ。こんな光景この間学食で見た気がする。
照「謙兄、誕生日おめでとう!」
普段は謙太郎、なんて呼び捨てにしてるくせに、今日だけはわざと謙兄なんて呼び方しながらプレゼントを渡す照。
謙「えー!プレゼントまで用意してくれてるのーー?」
にこにこ嬉しそうにみんなの顔を見渡す謙兄に私たちもえへへ、なんて笑いが込み上げてくる。俺の好きなブランドだー!って綺麗にラッピングされた袋を抱き締める謙兄と、ぜってー喜ぶから!なんて自信満々に言う照。
謙「あれ?そういえば慧ちゃんどこいったの?」
帰ってきた時はいたよね?なんて謙兄がキョロキョロし始めた。
パチッ
謙「えっ?」
再び真っ暗になった部屋に、ケーキを持って現れる慧ちゃんと部屋に響く少し照れた歌声。
慧「はっぴーばーすでーとぅーゆー♪」
「「『はっぴーばーすでーとぅーゆー♪はっぴーばーすでーでぃあ、謙兄ちゃん~!!!はっぴーばーすでーとぅーゆー♪』」」
慧「謙兄、いつもありがとう。えっと、俺たちの世話をしてくれたり、兄さんもいつも忙しいのに、とっても、感謝してます。ケンカばっかで、子供で、頼りない俺たちだけど、これからもよろしく!」
今日のパーティーの主役は謙兄と慧ちゃん。皆でバースデーソングを歌った後に謙兄の大好きな慧ちゃんが謙兄に一言言ってからろうそく消してもらおう!って皆で考えたのだ。
謙「…慧ちゃんっ、(うるうる)」
慧ちゃんが照れながら、でもしっかりと伝えた感謝の言葉に既に泣きそうな謙兄(笑)。これは、サプライズ大成功かな?
辰「さー、ほら!はやく火消して!」
はやくはやく、って急かす私たちにうんって頷くとフー、っと一息で消えたろうそく。
おめでとー!いぇーい!とぱちぱちと手を叩く音の中、物凄く嬉しそうな笑顔で「もー!いつからこんな計画してくれてたのー?」なんて、照れ隠しなのか大きい声で言ってくる謙兄。
照「2週間ぐらい前だよな?」
辰「俺とあきらが料理担当で、」
翔「俺とみゅーとと慧ちゃんで飾り付け!」
みゅ「慧ちゃんがやりたい!って言い出したんだよ!」
慧「やっ、だっていつも謙兄にはお世話になってるし…」
みゅーとの一言に照れて俺が言い出したけど皆でやったんだよ!なんて主張する慧ちゃんはやっぱりとってもとっても良い子だ。なんて、そんな可愛い可愛い慧ちゃんをぎゅーってしたくなったのは私だけではないらしく
謙「もーー!!慧ちゃんありがとーー!!大好きーー!!!」
慧「わっ、ちょ、」
慧ちゃん大好きーー!!なんて何回も叫びながら慧ちゃんに抱き付く謙兄。と、ちょっとー重いよーなんて言いながらも嬉しそうな慧ちゃん。
『慧ちゃんばっかずるいー!』
私もー!と言いながら謙兄に背中から抱き付くとあきらずるいー!俺もー!って言って抱きついてくるみゅーと。
辰「俺もまぜろー!」
翔「わっ、あぶない…わぁぁぁあ!」
『いった…!ちょっと照!重い!』
照「俺だって動けな…うわ!!おい!おいやめろみゅーと!ぎゃはははははっおいっ、やめろってくすぐるな!ぎゃはは」
なんてギャーギャー言いながら7人でぎゅーってし合って倒れて結局もみくちゃ状態(笑)
謙「ひゃはははっ!あーもう、ティアラも襷もとれちゃったよ~も~。…ふはっ、みんなサイコー!ほんっとうに嬉しい!ありがとう!」
結局ろくに感動的なムードにならないでドタバタふざけて終わっちゃったけど、でも謙兄がとーーーーーってもよろこんでくれたので今年の謙兄のお誕生日パーティー、大成功です!!
『あーもう!謙兄真ん中!みんなちゃんと並んで!撮るよー?はい、ちーず!』
謎家族~謙兄誕生日前夜~
「ねー!レターセットちょうだい!」
7月20日の夜。ノックもせずに私の部屋に入ってきてちょーだい!と手を伸ばすみゅーと。
『みゅーとも?もうみんなとっくの昔に貰いにきたよ?』
そう。明日は謙兄の誕生日。2週間前に慧ちゃんからお誕生日会やろう!って言われて、みんなそれぞれ当日までにお手紙を書くことを約束したのだ。
みゅ「あきらだって今書いてるじゃん」
書くの遅いよー誕生日会明日だよ?なんて言えばむっとした顔で机の上に書き途中で散らばるお手紙を読もうとするみゅーと。
『えっ、ちょっと!読まないでよ!』
とりあげるとなんだよケチ~なんて言って私のベットに転がってね~レターセットー!って。なんでもらう立場なのにこんなに偉そうなんだこの子は。
みゅ「わっかわいい!すげー!6色あるの?」
みゅーとも絶賛してくれてるこのレターセットは丁度1週間前に慧ちゃんと買いに行ったものだ。慧ちゃんがレターセットちょーだいって来たんだけどふざけたキャラクターものしか無くて二人で買いに行ったのだ。ふふふん、可愛いだろう!慧ちゃんが「これがいい、可愛いし」って選んだんだぞー!さすが慧ちゃんセンスあるぅ~!
『みゅーと赤ね』
わーいここで書こう~なんて言って私のペン立てを漁って、けんにいおたんじょうびおめでとう、なんて口に出しながらスラスラ書いていくみゅーと。私も書かなくちゃ。みんなももう書いたのかなぁ、何て書いてるんだろう。お手紙なんてあんまり書かないからなんだか緊張しちゃうなぁ(笑)明日何作ろうかな、大学お休みでよかった。
みゅ「ん~…できた!」
暫く真剣に書いていたみゅーと。私は先に書き終わって横でレポートやってたんだけど、やっと完成したみたいでできたー!やっとできたー!って煩い(笑)
みゅ「ねー!字間違ってないか読んで!」
って言って封をしていない状態の手紙を渡してきた…えっ読んでいいの? 普通読まれたくないんじゃないの?って思って返そうとしたけど、みゅーとをみると「読んで読んで~頑張ったの~」とでも言うような顔でにこにこして見てくる…まるでボールとってきたから褒めて~♡って顔をしてる犬のようだ。私犬好きじゃないけど。
謙にいへ
謙にいお誕生日おめでとう!23歳だね!
いつもいつも母さんの代わりをして朝起こしてくれたりご飯作ってくれたりしてありがとう。いつも俺が拗ねちゃったりして翔希とか照とかとケンカしたときに仲直りさせてくれてありがとう。謝らなきゃダメだよって謙にいに言われると、ムカついてたはずなのに謝らなきゃダメだなぁって思います。 謙にいはかっこいいです。いつでもみんなのことを一番に考えてくれてありがとう。たくさん頼ってばっかりでごめんね。俺もはやく謙にいみたいにしっかりした男になりたいです。まだまだ俺がポンコツじゃなくなるまで、俺たちの大好きな頼れる"23"(兄さん)でいてね!
美勇人より
私とは違うシュッとした綺麗な字で綴られたみゅーとのお手紙、なによ、可愛いじゃん。なんて思ってほっこりしてたら、2枚目に書かれていた7人の棒人間。
『なにこれwwww』
みゅ「可愛いでしょっ?」
これが俺で~、これが謙にいで~なんていちいち説明してくれるけど、こいつら背の高さ違うだけでみんな同じだよみゅーちゃん…
可愛くシールで飾って封をして、できた~!ってにこにこ。ありがと~って言いながらえへへって笑ってくるみゅーとを育てたのは謙兄みたいなところがあるから、ほんと良いお兄ちゃんだなって再確認する。
みゅ「は!俺慧ちゃんと明日何時に出るか決めてこないと!」
じゃーね!ってすたこらと部屋を出ていったみゅーと。けいちゃーん!なんて叫ぶ声とドタドタと階段を降りる音がする…ドアを閉めなさいドアを。
あー私も明日は朝から買い物だな!美味しいものつくらないとなー!
続く